やさしいとなり

認知症グループホームでの静かで騒がしい日々の記憶と、そのほか誰かにやさしく隣る人たちの物語を描いていきたいです。

やわらかな肌

「幸せになれるかもって思うから、死ぬのが怖いのかな」

ノートの端に見つけたあなたのことば

 

私はひどく後悔しています

あなたに贈り物を渡せなかったことを

 

白い肌に真っ赤な楓のような頬をして

思い出せばあなたはいつも笑ってた

 

子どもたちのさみしさが降り積もるあの場所で

大人びた瞳を 夜の闇に残しながら

どこかに

信じ得るものはないか 

ほんとうに美しいものはないかと

見えない涙を流しながら

 

幸せの後ろ姿が見えそうになったとき

私はあなたの肌を思い出す

 

人生という素木を受け止めるには

まだあまりにもやわらかだった

あなたの肌を

 

 

 

五行詩

空を見上げることを

遠く忘れてしまった

この心

気づいたときには

もう包まれていて

f:id:harushion58:20220416124002j:plain

最近、五行詩というものに出会いました。

「五行で書く詩」ということ以外、

なにも決まりごとのない詩。

なんだかいいな、と思います。

つぶやきのような

ため息のような

そよ風のような

そんな詩のスタイルが

なんだか好きです。

冬の日

冬になると思い出す
小さな野ねずみの家族
穴の中から現れて
山の上をかけまわる
穴の中はあっという間に
落ち葉でいっぱい
 
 
街には冷たい風が吹き
人々がこれからどうして生きていかれようと
嘆くこの季節
 
野ねずみたちは
集めたばかりの落葉の上で
静かにやさしく
からだを寄せ合う