やさしいとなり

認知症グループホームでの静かで騒がしい日々の記憶と、そのほか誰かにやさしく隣る人たちの物語を描いていきたいです。

君はほんとうの君になってゆく

これは赤ちゃんの写真。生まれたばかりの誰かさん。 赤ちゃんは一日中眠っているか、泣いているか、ミルクを飲んでいるかの繰り返し。 でもずっと見ていても飽きない。 肌はとびきり柔らかくて、なんだかいい匂いがする。 赤ちゃんはそこにいるだけで周りを…

五行詩

空を見上げることを 遠く忘れてしまった この心 気づいたときには もう包まれていて 最近、五行詩というものに出会いました。 「五行で書く詩」ということ以外、 なにも決まりごとのない詩。 なんだかいいな、と思います。 つぶやきのような ため息のような …

冬の日

冬になると思い出す 小さな野ねずみの家族 穴の中からひょっこり現れて 森を行ったり来たりかけまわる 街には冷たい風が吹き 人々がこれからどうして生きていかれようと 嘆くとき 穴のなかの野ねずみたちは 集めたばかりの落葉の上で 静かにやさしく からだ…