やさしいとなり

認知症グループホームでの静かで騒がしい日々の記憶と、そのほか誰かにやさしく隣る人たちの物語を描いていきたいです。

やさしいとなり⑩「泣き寝入り」

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朝までコースです。

 お年寄りで昼夜逆転している人は結構多いです。

知り合いの看護師さんに聞いたところ、夜は不安が高まりやすく眠れない人も多いとのこと。

日中は明るいし人の気配もあるので安心して眠れ、結果的に昼夜逆転してしまうのだと。

とはいっても、グループホームは日中活動して夜寝るように人員配置されているので、夜にこのような事態になると悲惨です。。でも、起きてしまったものは仕方がない…

こうなったら「レット・イット・ビー」なすがまま、この身を委ねるほかありません。

 

やさしいとなり⑦「オハコ」

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でも名曲です。

ホームに響く「パパ、パパ」という優しい声。

ツユクサさんの娘さんが来ると、

この家の空気も、ツユクサさんの顔色も

一気に明るくなるのです。

 

やさしいとなり⑥「泣かせ屋」

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ツユクサさんは、よく笑う人だけれど、よく泣く人でもある。

 ツユクサさんが泣くと、最初はみんな励まそうとする。

でも、だれもツユクサさんの涙を止められないことに気づくと、

いつの間にかみんなツユクサさんと一緒に泣いている。

やさしいとなり⑤「思い出し笑い」

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何を思い出していたのかとても気になる。。

 ツユクサさんは旅をしている。

時を超えて、空間を超えて。

一日中同じ席に座りながら、遠く、遠くを見つめている。

そんな旅の中のツユクサさんと時たま目が合うと、

ツユクサさんは何かを思い出したように、

身体の中から何かが溢れ出すように、

笑うのだ。